第9回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ (CRISMATH 2017)


開催日時2017年12月22日(金)
開催場所産業技術総合研究所臨海副都心センター 別館11階 第一会議室
(ゆりかもめ「テレコムセンター」駅下車すぐ: 交通アクセス
参加費無料

開催趣旨

近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては従来よりも専門的な数学の知見に基づく様々な研究が進められており、一方数学分野においては周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっております。本ワークショップでは、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。

参加申し込み

件名を「暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ」として、お名前、ご所属、ご連絡先(e-mailアドレス等)を k.nuida aist.go.jp (担当:縫田)宛にお送りください。当日会場でのお申し込みも承りますが、満席の際には事前申し込みされた方を優先させていただきます。

また、ショートプレゼンテーションセッションでの発表を募集いたします。発表をご希望の方は、発表者のお名前、ご所属、ご連絡先(e-mailアドレス等)、ご発表時間(1分~5分)、およびご発表内容の概要(1~2行程度)を上記メールアドレスまでお送りください。ご発表にはPCプロジェクターをご利用いただきます(黒板やホワイトボードはございません)。なお、発表ご希望者多数の場合、およびご発表内容が本ワークショップの趣旨から著しく外れている場合等には、ご希望に添えないこともございますのでご了承ください。

プログラム(敬称略)

10:10開会
10:30-11:30安永 憲司(金沢大学)
「暗号技術に対するゲーム理論的なアプローチ」
昼休み
13:00-14:00矢内 直人(大阪大学)
「情報セキュリティに対する形式手法からのアプローチ」
14:30-15:30末永 幸平(京都大学/JSTさきがけ)
「超準プログラミング言語を用いたハイブリッドシステムのモデリングと検証」
16:00-16:30縫田 光司(産業技術総合研究所/JSTさきがけ)
「非可換群を用いた完全凖同型暗号の構成、その後」
16:30-17:00縫田 光司(産業技術総合研究所/JSTさきがけ)
「abc予想を暗号研究に使ってみた 〜不動点のない置換とカードプロトコル〜」
17:10-17:40ショートプレゼンテーションセッション、自由討論

講演概要(敬称略)

安永 憲司:「暗号技術に対するゲーム理論的なアプローチ」
ゲーム理論は合理的な振る舞いをする人の行動を分析するための理論である。暗号理論では通常、正当な利用者を敵対者から守ることを考えるため、登場人物の合理性を考慮することはなかった。しかし、合理的な振る舞いを否定することは難しく、また、いくつかの暗号技術に対しては合理性が問題を生じさせることが明らかになった。本講演では、ゲーム理論の考えを暗号技術に適用した例をいくつか紹介し、ゲーム理論的なアプローチの可能性を考察したい。
矢内 直人:「情報セキュリティに対する形式手法からのアプローチ」
情報セキュリティ技術の安全性解析において、形式手法を用いた方法が近年の主流となりつつある。これは安全性を保証する数学的な証明を明示的に与えられること、また、その処理を計算機に行わせることで解析を自動化する二つの意味合いがある。この形式手法を用いた安全性解析において、代表的な成果と最新の研究動向を紹介する。
末永 幸平:「超準プログラミング言語を用いたハイブリッドシステムのモデリングと検証」
我々は2011年以降正の無限小値を表す定数を厳密に扱えるプログラミング言語の意味論を超準解析を用いて与える手法を研究している.我々が超準プログラミング言語と呼んでいるこれらの言語は,連続値と離散値の双方が影響し合うハイブリッドシステムと呼ばれるシステムを,連続値を離散化することなしにモデル化できるという応用がある.このようなモデル化を行うことにより,プログラムの正しさの証明を半自動的に与える手法(形式検証)を用いてハイブリッドシステムの検証を行うことが可能となる.本講演では,超準解析を用いて実数を無限小値で拡張する方法から始めて,無限小定数の意味論を与える方法や,超準プログラミング言語を通じて形式検証手法をハイブリッドシステムに適用する手法について紹介する.
縫田 光司:「非可換群を用いた完全凖同型暗号の構成、その後」
データを暗号化したままの状態で様々な演算を施すことができる「完全準同型暗号」という技術が近年の暗号分野で盛んに研究されている。話者はここ数年、非可換群の理論に立脚した、新しい構成原理に基づく完全準同型暗号の実現を目指して研究を進めてきた。本発表では、話者によるこの研究の現状報告とともに、この研究の中で直面している様々な数学的問題についての紹介を行う。
縫田 光司:「abc予想を暗号研究に使ってみた 〜不動点のない置換とカードプロトコル〜」
物理的なカードを伏せる/開く/シャッフルする、といった操作を通じて暗号的な計算を実現する「カードプロトコル」という研究分野がある。同分野で1993年に提示された問題の一つに、不動点を持たない置換を一様ランダムかつ秘密に生成するカードプロトコルの実現がある。この問題に対しては、試行回数の期待値はそこそこ小さいものの最悪時に有限時間で停止する保証のないプロトコルがこれまでに提案されているが、有限時間で必ず停止する効率的なプロトコルの構成は未解決である。本発表では、こうしたプロトコルの構成がどの程度難しいかについて、整数論の難問の一つ「abc予想」を用いて評価した研究成果の紹介を行う。(本発表は、橋本侑知氏、品川和雅氏、稲村勝樹氏、花岡悟一郎氏との共同研究(SCIS 2017)に基づくものである。)

主催、共催等

主催産業技術総合研究所 情報技術研究部門
共催 信州数理科学研究センター
実行委員(五十音順) 阿部 拓郎(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
鍛冶 静雄(山口大学)
栗原 大武(北九州工業高等専門学校)
縫田 光司(産業技術総合研究所/JSTさきがけ)
沼田 泰英(信州大学)
前野 俊昭(名城大学)