共同研究実績

次世代プライバシー保護型生体認証に関する研究


生体情報を秘密鍵とする電子署名技術(ファジー署名技術)の研究を推進しています。
具体的には、ファジー署名技術の安全性を暗号学的に証明する研究や、ファジー署名の高精度化に向けた研究に取り組んでいます。

情報化社会の進展、企業におけるICT活用の進展、行政サービスの電子化などに伴い、ネットワークを介した個人認証や電子署名の重要性が高まっています。大規模な利用者を対象とした個人認証や電子署名を実現する仕組みとしてはPKI(Public Key Infrastructure: 公開鍵基盤)がありますが、PKIでは利用者が秘密鍵を格納した媒体(ICカードなど)を所持し、秘密鍵活性化のための暗証番号を記憶しなければならない、といった利便性の課題を抱えています。一方、より便利で確実に個人認証を行う手段として静脈や指紋などの生体認証がありますが、生体情報は取得するたびに変化する「揺らぎ」を持ったデータであるため、生体情報をそのまま秘密鍵として用いることはできません。

この問題を解決するため、生体情報のように揺らぎを持ったデータを秘密鍵とする電子署名技術(ファジー署名技術)の研究を行っています。具体的な成果として、基礎理論の安全性証明(文献*1)とともに、実際の生体情報に適用した場合でも安全性証明可能な方式を開発しました(*2)。また、ユーザがIDを提示せず、生体情報の入力だけで認証や署名を行う場合には更なる高精度化が必要ですが、これに向けてユーザが入力する生体情報の数を最小限に抑えつつ、高精度化を実現する生体情報の融合方式を開発しました(*3)。

(本研究は、株式会社日立製作所と共同で推進しています)

関連リンク:研究ハイライト 生体情報を用いた電子署名(ファジー署名)の安全性を証明

論文リスト

  • *1 Kenta Takahashi, Takahiro Matsuda, Takao Murakami, Goichiro Hanaoka, Masakatsu Nishigaki, A Signature Scheme with a Fuzzy Private Key, Proceedings of the 13th International Conference on Applied Cryptography and Network Security (ACNS 2015), pp.105-126, 2015.
  • *2 Takahiro Matsuda, Kenta Takahashi, Takao Murakami, Goichiro Hanaoka, Fuzzy Signatures: Relaxing Requirements and a New Construction, Proceedings of the 14th International Conference on Applied Cryptography and Network Security (ACNS 2016), pp.97-116, 2016.
  • *3 Takao Murakami, Tetsushi Ohki, Kenta Takahashi, Optimal Sequential Fusion for Multibiometric Cryptosystems, Elsevier Information Fusion (Special Issue on Information Fusion in Biometrics), vol.32, pp.93-108, 2016.